地震が起こったけど、被害がでているのだろうか。どんな場合なら保険金の請求ができるのだろうか。と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。地震保険の請求ができる場合とできない場合について今回は解説していきます。
地震保険の定義
地震保険は、火災保険と異なり実損額ではなく、被害の割合に応じて、補償パーセンテージが決まり、『地震保険の保険金額 × 補償割合』で受け取れる金額が決まります。あくまでも地震保険は、再建費用等の補填という位置付けで、実際の損害を補償する火災保険など他の損害保険とは違って、 “被災した人々の生活の安定に貢献する”ことを目的にできた制度です。
保険金支払い基準
地震保険には支払い基準が決められています。下記表にまとめていますが、保険対象の住居用建物、または家財について生じた損害の程度が一定の基準(全損、大半損、小半損、一部損)を超えた場合、設定された保険金額の割合に応じて支払われます。
〈建物〉
平成28年以前 | 平成29年以降 | 基準 |
全損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合 | |
半損 | 大半損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合 |
小半損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合 | |
一部損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・大半損・小半損に至らない場合 |
<家財>
平成28年以前 | 平成29年以降 | 基準 |
全損 | 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の80%以上となった場合 | |
半損 | 大半損 | 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の60%以上80%未満となった場合 |
小半損 | により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の30%以上60%未満となった場合 | |
一部損 | 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の10%以上30%未満となった場合 |
地震保険で保険金が請求できるケース

地震保険では、火災保険で補償されていない地震・噴火・津波が原因で起こった火災、損壊、埋没または流される等で受けた損害を補償します。
・地震による揺れで外壁や基礎にクラックが生じた
・地震による揺れで建物が倒壊した
・地震による揺れで食器が割れた。家具が倒れた
・家電などが倒れて破損した
・地震による揺れでストーブが倒れ、火災になった
・地震による揺れで液状化現象が起こり、建物が傾いた
・地震や火山の噴火で津波が起こって建物が流出した
・噴火による溶岩流や噴石、火山灰、爆風によって倒壊・埋没した
・噴火による火砕流で建物が燃えた ・地震や噴火による土砂崩れで建物が流出や埋没した
地震保険で保険金が請求できないケース
地震の被害に遭っても、地震保険で保険金を受け取れない場合もありますので注意しましょう。
・故意もしくは重大過失又は法令違反による損害
・地震の発生日から10日以上経過後に生じた損害
・戦争、内乱などによる損害
・核燃料物質または核燃料物質で汚染された物質による事故
・地震で自家用車が壊れた
地震保険の支払い限度額
- 地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険し、再保険料の受入れ、管理・運用のほか、民間のみでは対応できない巨大地震発生の際には、再保険金の支払いを行うために地震再保険特別会計において区分経理しています。
- 1回の地震等により政府が支払うべき再保険金の総額は、毎年度、国会の議決を経た金額を超えない範囲内のものでなければならなく、現在、その金額は11兆7,751億円であり、民間保険責任額と合計した1回の地震等による保険金の総支払限度額は12兆円です。
- 総支払限度額は、これまでも関東大震災クラスの地震と同等規模の巨大地震が発生した場合においても対応可能な範囲として決定されています。過去、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの巨大地震が発生した際にも、保険金の支払額は総支払限度額内であり、円滑に保険金が支払われています。
抜粋:財務省HP政府による再保険
